By まつがん
恒例の宣伝からだが、皆さんは先々週発売したコロコロコミック8月号はもう入手されただろうか?
デュエル・マスターズの原作コミックが読めることはもちろん、8月に発売する「20thクロニクルデッキ」や9月発売の王来篇第3弾に関する情報も色々と掲載されている。ぜひとも手に取ってみて欲しい。
王来篇第2弾「禁時王の凶来」には、新しいデッキを作りたくなるカードがたくさん収録されている。
そんな中で、私が注目したのはこの1枚だ。
《Disノメノン》。「スピードアタッカー」「マッハファイター」「ジャストダイバー」という火自然水のキーワード能力を持ち、さらにバトルに勝てば1ブーストか1ドローという、3マナ域としては最強クラスのスペックを持ったクリーチャーだ。
とはいえ、これだけ能力を持っていても普通にシールドをブレイクしにいくだけならちょっと強い《解体屋ピーカプ》と大して変わらない。
特定のカードでデッキを作るということは、そのカードが持つ「唯一無二性」に着目するということだ。したがって《Disノメノン》を使ってデッキを作るなら、《Disノメノン》が持つ「唯一無二性」を言語化して紐解いてあげる必要がある。
では《Disノメノン》が持つ「唯一無二性」とは何か?
それは、「スピードアタッカー」と「ジャストダイバー」を兼ね備えた唯一のクリーチャーだということだ。
つまり《Disノメノン》を使ったデッキを作るなら、「ジャストダイバー」を生かしたデッキということになる。
そう、「ジャストダイバー」を生かしたデッキ……それはつまり。
「選ばれないビートダウン」が組めるのでは???🤔🤔🤔
《珊瑚妖精キユリ》や《異端流し オニカマス》は、対戦相手の呪文や能力によって選ばれないという強固な除去耐性を持っている。
とはいえ、これまでは軽量クリーチャーで同様の能力を持っているものはほとんどいなかったため、「選ばれないクリーチャーだけでビートダウンする」というコンセプトはデッキになりそうでならなかった。
だが、そこにきて王来篇での「ジャストダイバー」の登場である。1ターン限定とはいえ選ばれないだけでなく殴り返しもされなくなるという究極の除去耐性を与えるこの能力。それを持つクリーチャーを集めれば、S・トリガーを無視して安全に殴りきることが可能になるのではないか。
《Disノメノン》と同じく「ジャストダイバー」を持つ軽量クリーチャーとしては《隠れ潜む者 シードラン》がある。カードを引こうとすると容易に殴り返しされてしまうサイズなのがネックだが、それでも単色でアドバンテージがとれるクリーチャーという時点でスペックとしては申し分ない。
また《葉鳴妖精ハキリ》は「選ばれない」能力こそないものの、相手ターン中にはパワーが6000まで上昇するため、相手にしてみればかなり対処しづらいクリーチャーであることに変わりはない。しかも《Disノメノン》の厳しいマナ要求を無視して展開できる上に、消費した手札は《Disノメノン》が補充してくれるので相互に補完しあう関係となっているのもポイントだ。
しかし、この「選ばれないビートダウン」というコンセプトには一つ問題があった。《珊瑚妖精キユリ》を2ターン目に出せるようにする以上、水と自然がデッキのベースにならざるをえないが、水自然ベースのデッキではなかなか人が死なないのである。
それも当然だ。「選ばれない」効果が強力なのは相手にターンを渡すことがそもそもの前提だからであって、簡単に6打点が作れるならわざわざ「選ばれない」クリーチャーをデッキに入れる必要がない。
だが、デッキコンセプトは既に決まってしまっている。つまり、どうにか《Disノメノン》の3つ目の文明である火文明を活用して殺意を獲得しなければならない。
とはいえ、その殺意を担保するための火文明のカードも「選ばれないビートダウン」のコンセプトを極力邪魔しないものである必要がある。選ばれないクリーチャーの横に、選ばれてしまう普通の速攻クリーチャーを並べても意味がないからだ。
はたしてこの極めて狭い「要請」をクリアできるカードが存在するのか……とも思われた。
しかしデュエル・マスターズは、求めれば必ず応えてくれるカードゲームなのである。
そう、「キリフダッシュ」だ。
《カダブランプー》や《バークアステカA》はシールドブレイク後に召喚できるため、対戦相手のS・トリガーの影響を受けずに追加打点を用意することができ、実質的に選ばれないのと同等の機能を発揮する。
また、《龍装者 バルチュリス》もS・トリガー避けの追加打点になるほか、マナゾーンに火マナを要求しない点が水自然ビートというコンセプトに合致している。
他にも《S級原始 サンマックス》は、《Disノメノン》に乗せると「ジャストダイバー」を引き継いで選ばれず殴り返しもされないT・ブレイカーが爆誕するので殺意の大幅な増強に資する。
だが、ここで問題が発生した。
殺意を上げるために入れたいカードが多すぎて水自然メインのビートダウンという体裁が保てなくなってしまったのだ。
そもそも水自然メインのビートダウンにおいて火単色のカードは限りなくノイズになりやすい。だが、《バークアステカA》はまだしも《カダブランプー》も《龍装者 バルチュリス》も4枚積みするとなると、2ターン目の《珊瑚妖精キユリ》の召喚が怪しくなってしまう。
また、他方で《S級原始 サンマックス》も、《Disノメノン》と相性が良いとはいえそれほど自然の3マナ域に偏重した構成ではないため、文句なしに4枚採用と言えるほどにはデッキコンセプトと合致しているわけではなかった。
要約すると、ここにおける問題は一つだった……つまるところこれらの追加打点要素は、活躍するシチュエーションが限られるのだ。
しかしだからといって1枚や2枚ずつだけ採用したとしても、そのシチュエーションに合ったカードを適切なタイミングで引けるとは限らない。
だが、ここでもし。好きなカードを自由に引き込めるとしたならどうだろうか?
アタックトリガーの《隠れ潜む者 シードラン》がいたなら《カダブランプー》を、《Disノメノン》を引けていたなら《S級原始 サンマックス》を。状況に合わせて最適なクリーチャーをデッキ内から探してこれる上に、マナへの負担も最小限にとどめることができる。
そして「好きなカードを自由に引き込める」を実現するためには、何も超能力やイカサマに頼る必要はない。
そう……つまり真に求められていたのは、クリーチャーをサーチできるカードだったのだ。
すなわち。
《誕生の祈》だ。
「キタカゼ・ダッシュ」でも登場したこのカードは、シールドブレイク前に山札からクリーチャーを探してこれるため、「キリフダッシュ」や《龍装者 バルチュリス》と非常に相性が良い。しかもこれ自体自然の3コストクリーチャーでもあるため、《S級原始 サンマックス》へと「侵略」することも可能だ。
というわけで、できあがったのがこちらの「ダイバー・ダッシュ」だ!
『ダイバー・ダッシュ』
《葉鳴妖精ハキリ》 | |
4 | 《異端流し オニカマス》 |
《珊瑚妖精キユリ》 | |
4 | 《隠れ潜む者 シードラン》 |
《誕生の祈》 | |
4 | 《Disノメノン》 |
1 | 《モモダチ キャンベロ》 |
1 | 《キノコ将軍》 |
1 | 《ハエタタ・チュリス》 |
1 | 《キタカゼマンA》 |
1 | 《斬隠テンサイ・ジャニット》 |
1 | 《S級原始 サンマックス》 |
1 | 《単騎連射 マグナム》 |
1 | 《カダブランプー》 |
1 | 《裏斬隠 カクシ・レシピ》 |
1 | 《裏斬隠 フォクシット》 |
1 | 《奇天烈 シャッフ》 |
1 | 《モモダチ ケントナーク》 |
1 | 《龍装者 バルチュリス》 |
1 | 《刀の3号 カツえもん剣》 |
1 | 《”轟轟轟”ブランド》 |
1 | 《バークアステカA》 |
1枚差し多すぎじゃね???🤔🤔🤔
「トリプル・シュート」の回でも語った「多重要請のジレンマ」の解消を図りつつも個々のシチュエーションの解決策となるクリーチャーを片っ端から入れていった結果、実に16枚もの1枚差しを採用することとなってしまった。
だが、これだけ1枚差しを積んだ構成だからこその利点もある。
それは、これだ。
全選手入場!!
ノヴァ殺しは生きていた!! 更なる研鑚を積み人間凶器が甦った!!!
武神!! 《裏斬隠 フォクシット》だァ――――!!!
ボクシングは3階級制覇だが革命チェンジなら全階級オレのものだ!!
《刀の3号 カツえもん剣》だ!!!
フィールド対策は完璧だ!! 全火文明柔道 《ハエタタ・チュリス》!!!!
全ニンジャ・ストライクのベスト・ディフェンスは私の中にある!!
シノビの神様が来たッ 《斬隠テンサイ・ジャニット》!!!
タイマンなら絶対に敗けん!!
将軍のケンカ見せたる 特攻隊長 《キノコ将軍》だ!!!
ルールの無いケンカをしたから殿堂(1枚制限)になったのだ!!
プロのトリガー封じを見せてやる!!《単騎連射 マグナム》!!!
闘いたいからここまできたッ キャリア一切不明!!!!
チーム切札のマッハ(ケンカ)ファイター 《モモダチ ケントナーク》だ!!!
デカァァァァァいッ説明不要!! 12000!!! T・ブレイカー!!!
《S級原始 サンマックス》だ!!!
ニンジャ・ストライクは実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦ニンジャ・ストライク!!
本家裏斬隠から《裏斬隠 カクシ・レシピ》の登場だ!!!
キリフダッシュに更なる磨きをかけ ”7000切り”《バークアステカA》が帰ってきたァ!!!
デュエマ四千年の拳技が今ベールを脱ぐ!! チーム切札から 《モモダチ キャンベロ》だ!!!
ヒーローの仕事はどーしたッ 闘士の炎 未だ消えずッ!!
出すも殴るも思いのまま!! 《キタカゼマンA》だ!!!
暗黒街で磨いた実戦アンタップ!!
チーム切札のデンジャラス・ランプ 《カダブランプー》だ!!!
実戦だったらこの人を外せない!! 超A級呪文封じ 《奇天烈 シャッフ》だ!!!
バスターはこの男が完成させた!!
アグロの切り札!! 《龍装者 バルチュリス》だ!!!
若き王者が帰ってきたッ
どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ
俺達は君を待っていたッッッ《”轟轟轟”ブランド》の登場だ――――――――ッ
……という具合に、最大トーナメントごっこができるのである。32枚1枚差しにすると完璧な原作再現だがさすがにデッキではなくなりそうなので自重した
それはともかく、「サーチカード+大量の1枚差し」というデッキ構築は、活躍するシチュエーションが限定的な切り札を好きに採用できて楽しいので、ぜひ試してみて欲しい。
ではまた次回!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。