【大塚角満のゲームを語る】第30回 パワプロの夏が到来した!

スポーツが苦境な、いまだからこそ

7月9日に発売されたプレイステーション4、Nintendo Switch用ソフト『eBASEBALLパワフルプロ野球2020』の売れ行きが好調だ。ファミ通調べによる発売から4日間の推定販売本数は、両ハード合わせて約18万6000本。その後も順調に売れているようなので、とっくに20万本の壁は越えていることだろう。
 

昨日(7月21日)、秋葉原の量販店にあるゲームコーナーに立ち寄ったんだけど、そこでも『Ghost of Tsushima(ゴースト オブ ツシマ)』と並んで、『パワプロ2020』が大々的にディスプレイされていたのが印象的だった。
 
そう、今年は例年以上に『パワプロ2020』がいいのだ。ゲーム内容的にも“過去最大級のボリューム”を謳っているだけあってすばらしいんだけど、何よりいまの社会的状況が後押しして、売り上げが伸びているような気がしてならないのだ。
 
その社会的状況とは……もちろん新型コロナウイルスである。
 
コロナ禍は、さまざまな分野にとてつもない影響を及ぼした。挙げ始めるとキリがないのでやめておくけど、国民的娯楽であるプロ野球や大相撲まで開催中止や無観客開催を余儀なくされている現状を見て、そのダメージを大きさを改めて思い知った人も少なくないに違いない。
 
とくに、1年を通して国民を楽しませてくれるプロ野球の開幕延期は、個人的にもかな~りガッカリさせられたよ。小学生のころから大ファンの広島カープの復権を願い、
 
今年は何度か球場にも足を運んで、応援しちゃおっかな~!
 
なんて思っていた矢先にコロナ禍が起こり、ペナントレースの開幕延期と規模縮小が発表されたんだもの……。現在、選手や関係者の努力もあって試合は行われているけど、観客を絞っての開催とあってなかなか例年通りとはいっていない。
 
そんな中、発売されたのが『パワプロ2020』だ。
 

毎年のように新作が発売される『パワプロ』シリーズだが、今年ほど「早く発売してくれ!!」と思った年はないよ。
 
この……御しきれない“野球熱”をぶつける場所が欲しい!!
 
球場に行けない欲求を満たしてくれる手段を得たい!!
 
春先からくすぶっていたそんな想いの行きつく先が、ほかでもない『パワプロ2020』だったのである。
 

頭をカラッポにして

7月9日、お店が開くのと同時にゲーム売り場に直行し、俺はNintendo Switch版の『パワプロ2020』を購入した。そして、最近は電源さえ入れていなかった旧型のNintendo Switch(職業柄、2台持ちなのだ)にソフトを射し込み、『パワプロ2020』を起動したのである。
 

画面に映るおなじみのポップな絵柄を満足げに眺めてから、俺は静かにつぶやいた。
 
「よし……! 今日からこっちのスイッチは、広島カープ専用機だ(※訳:パワプロ専用、と言いたいようだ)」
 
というのも、メインで使っているNintendo Switch Liteは『あつ森』、『ディアブロ III』、『マインクラフト ダンジョンズ』、『世界のアソビ大全51』という4タイトルの並行プレイに使われているため、とてもじゃないけど追加の入る余地がなかったのだ(苦笑)。『パワプロ』も、遊び始めるとヘビーローテーションで選手育成をすることになるので、それら4タイトルといちいち切り替えるのは現実味がないと判断したのである。
 
で。
 
その日以来、俺は完全に“広島カープ専門選手育成担当”となった。
 

パワプロ2020』は前述の通り、過去最大級のボリュームを誇るだけあってさまざまなモードが搭載されているんだけど、俺が遊んでいるのはもっぱら、オリジナル選手を育成できる伝統の“サクセス”だ。
 
その中でも、その気になったら3~5分くらいで選手を誕生させられる“サクサクセス”ばかり遊んでいるのである。
 

野球の知識なんてなくても、手軽な育成ゲームを遊ぶ感覚でプロ野球選手を育てることができるこのモード。
 

やることは、体力の許す限りスゴロク風のマス目の上を移動して能力を高め、ときに起きるイベントをこなしてさらなる高みを目指す。
 

コレだけw その結果、誕生した選手(ゴールにたどり着けないことも多々あるけど)を見て一喜一憂し、ときには、
 
くっそ!!! つぎこそ、天才的な選手を育てる!!!
 
となり、ときには、
 
よしよし!! いい選手ができた!! この勢いで、もうひとり作るぞ!!!
 
なんてことになる。つまり、成功しようが失敗しようが、
 
さあ、つぎだつぎ!!!
 
という気持ちになることは変わらず、その結果、時間も忘れて選手育成に没頭してしまうという仕組みになっているのである。
 

サクサクセスは本当に気軽にプレイすることができるので、他のゲームのロード時間とか休憩の合間に遊ぶのに持ってこいである。コロナの影響で家にいることが増え、数本のゲームを並行で遊ぶ人が増加しているんじゃないかと読んでいるのだが、そんな人にこそ、何も考えずに遊べる『パワプロ2020』のサクサクセスをオススメしたい。たまには頭をカラッポにして、惰性でも楽しめるゲームもいいもんですよ。
 

大塚(おおつか) 角満(かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。

 

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