By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。
いや~出ましたね~、禁止改定。しかも「モダン」と「レガシー」という2つの競技フォーマットに加えて「ブロール」と「ヒストリック」でも禁止カードが!
【お知らせ】 2020年3月9日発表の、禁止・制限カードの告知をお伝えいたします。ブロール・ヒストリック・モダン・レガシーに変更があります。前記フォーマットの変更に関する判断、パイオニアについての見解についてお知らせいたします。 https://t.co/MvKFEmSa0W #mtgjp
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) March 9, 2020
■ブロール
《不屈の巡礼者、ゴロス》禁止
■ヒストリック
《王冠泥棒、オーコ》禁止
《むかしむかし》禁止
《夏の帳》禁止
《死者の原野》一時停止から使用可能に
■モダン
《むかしむかし》禁止
■レガシー
《死の国からの脱出》禁止
ブロールやヒストリックは現時点でのプレイヤー数は他のフォーマットに比べてそこまで多くないものの、今後関連セットが出ることが明らかになっていますし、規模拡大に向けて環境を整備しているようですね。特にヒストリックで禁止されたカードはいずれもスタンダードでも禁止されているカードであり、順当なところだなと感じます。
モダンとレガシーでも大暴れしていたカードが禁止されました。《むかしむかし》はコンボデッキを安定させすぎる上に、この先の未来に登場するであろう土地やクリーチャーを利用したコンボデッキ全てで使われることを考えれば遅かれ早かれ禁止されるべきカードだったと言えるでしょう。また、《死の国からの脱出》もvol.46で述べたとおりこのデッキを紹介できる機会は未来永劫失われました。そりゃそうだ。
新セット、『イコリア:巨獣の棲処』が出るまではまだまだ6週間以上もありますが、このタイミングで禁止改定が出ると環境が少し動いて楽しいですね。今のような最新セット発売から1ヶ月半~2ヶ月以上経過した頃というのは、大きな大会なども一段落ついて、環境もあまり動きにくくなってしまっていることが多いですし。
さて、禁止改定後の環境がどうなっていくのかも気になるところではありますが、今回は先週末に行われたマジックフェストの結果から、スタンダードのデッキを見ていきましょう!
マジックフェスト・リヨン2020
先週末にはマジックフェスト・リヨン2020が開催されました。久方ぶりの(オフラインでの)スタンダードの大型トーナメントということで、様々なデッキが活躍を見せていました。
特にvol.50でご紹介した赤単は現環境でも健在のようで、今大会でも見事優勝に輝きました。アグロ戦略というのはそのシンプルさゆえに環境中盤以降には対策されやすいアーキタイプなのですが、その上で勝ち切ったという事実は現在の赤いデッキの強さを示す証左と言えるでしょう。
また、赤単以外にも新しいデッキタイプが勝ち上がっていました。今回ご紹介するのもそんな新興勢力の一つ。白青コントロールから派生したバントコントロールデッキをご覧ください。
バントコントロール(使用者:アドリアーノ・モスカート選手) | |
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枚数 | カード名(メインボード) |
4 | 《繁殖池》 |
1 | 《ヴァントレス城》 |
2 | 《寓話の小道》 |
3 | 《森》 |
4 | 《神聖なる泉》 |
1 | 《島》 |
1 | 《平地》 |
4 | 《寺院の庭》 |
2 | 《啓蒙の神殿》 |
4 | 《神秘の神殿》 |
2 | 《豊潤の神殿》 |
2 | 《樹上の草食獣》 |
2 | 《夢さらい》 |
3 | 《ハイドロイド混成体》 |
2 | 《秋の騎士》 |
3 | 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 |
1 | 《覆いを割く者、ナーセット》 |
4 | 《世界を揺るがす者、ニッサ》 |
2 | 《伝承の収集者、タミヨウ》 |
4 | 《時を解す者、テフェリー》 |
3 | 《エルズペス、死に打ち勝つ》 |
4 | 《成長のらせん》 |
2 | 《空の粉砕》 |
枚数 | カード名(サイドボード) |
3 | 《霊気の疾風》 |
1 | 《裏切りの工作員》 |
4 | 《敬虔な命令》 |
2 | 《ドビンの拒否権》 |
3 | 《神秘の論争》 |
2 | 《探索する獣》 |
vol.49では白青コントロールをご紹介しましたが、今回ご紹介するのはその後継として緑を足したバージョンで、カードの選択肢を増やしつつ、よりプロアクティブ(能動的)に動けるような構成に進化したものです。コントロールと言えば知性的なイメージですが、時にはパワーも必要ということですね。
登場以来シミックランプなどで採用されていた《ハイドロイド混成体》や《ウーロ》もこのデッキのエースです。どちらも非常に強力なカードでありながら色マナシンボルが薄いため、3色デッキでも無理なく採用できるのがポイント。《ハイドロイド混成体》などはスタンダードに登場してから現在までずっと一線級の活躍を続けていますが、おそらくローテーションにより姿を消すまで青緑系デッキの中核を成すことでしょう。
これらのクリーチャーはライフ回復やカードアドバンテージを得ることができる上に攻撃の担い手としても非常に優秀で、まさに攻防一体のクリーチャーと言えます。ロングゲームになるほど強いというのもコントロールデッキの性質と噛み合っており、「現在の白青コントロールが緑を足す」という発想は非常に理に適った選択であることが分かりますね。
また、緑を足したメリットとして《秋の騎士》の存在もあります。現在の環境では《魔女のかまど》や《エルズペス、死に打ち勝つ》など割りたいパーマネントが少なくないので、メインボードから無理なく採用できるこのカードの価値は相対的に高まっていると言えます。似た役割の《打ち壊すブロントドン》と比較しても、マナコスト的にプレイしやすく、ライフゲインなどのモードも選べることからどのような相手に対しても最低限役割を持つことができるため、このデッキでは《秋の騎士》に軍配が上がります。
白青コントロールはコントロールデッキのご多分に漏れず、守りに徹して形勢を固めた後、素早く勝ち切る手段に乏しいという弱点がありました。勝敗を決めきれずにグダグダとゲームが長引いているうちに相手がアドバンテージを回復してしまって逆転される、といった展開も少なくなかったのです。そんな弱点も、緑をタッチしたことで解決。相手がわずか一瞬でも膝をつけば、すかさず《ニッサ》や《タミヨウ》といったプレインズウォーカーが飛びかかってマウントポジションを取り、対戦相手の抵抗の意思が完全に失われるまで暴力を振るい続けるのです。知性パンチ! 原始の法をその身に刻みつけろ。
やはりというか、現行のスタンダード環境では緑のカードが全体的に強いですね(禁止カードもほとんど緑)。まだまだしばらくは《ハイドロイド混成体》や《ウーロ》と付き合っていくことになりそうです。
ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。
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